読み応え : 小
春が訪れつつある土曜日。僕は日雇いのバイトをしていた。あるアイドルのライブ会場での警備だ。 担当は、アイドルの控え室。正直、暇だった。入口の前に、ずっと立っているだけ。ただ、出入りするアイドルを間近で見られたのは、ラ……
2021年07月10日 10時21分
春が訪れつつある土曜日。僕は日雇いのバイトをしていた。あるアイドルのライブ会場での警備だ。 担当は、アイドルの控え室。正直、暇だった。入口の前に、ずっと立っているだけ。ただ、出入りするアイドルを間近で見られたのは、ラ……
その日、大学の近くにある公園のベンチで、瞳と缶チューハイを飲んでいた。俺は典型的な貧乏学生で、飲み屋に行く金すらなかった。一方、瞳はいいとこのお嬢さまで、顔もかわいい。彼女になってもらいたいくらいだったが、残念なことに……
午後6時。授業が終えたおれは、腹が減ったので大学近くの定食屋に向かった。週に2、3回は訪れる、中年夫婦が切り盛りするいきつけの店だ。 「焼肉定食、ご飯大盛りで」 空いていた2人用のテーブルに着き、いつものメニューを注……
大学の友人6人で飲んでいた。男女それぞれ3人。べつに狙ったわけではないけど、たまたま同数だった。 終電の時間になっても誰も帰ろうとせず、自然と朝まで飲む流れになった。俺の隣には、文香が座っていた。かわいいけど、ちょっ……
俺の母親に届け物があって、いとこの博美が先週の日曜にやってきた。夕飯を食べていくことになったらしく、母親が夕飯の準備をしている間、俺の部屋にやってきてテレビを見ていた。 博美が見ていたドラマに俺は興味がなかったから、……