午後6時。授業が終えたおれは、腹が減ったので大学近くの定食屋に向かった。週に2、3回は訪れる、中年夫婦が切り盛りするいきつけの店だ。
「焼肉定食、ご飯大盛りで」
空いていた2人用のテーブルに着き、いつものメニューを注文した。「はいよ〜」とおばちゃんが機嫌の良さそうな声で返事をする。
店内にあったマンガを読んでいるとおばちゃんが定食を運んできた。さっそく食べ始めたとき、「相席いいですか」と声をかけられた。顔をあげると、パンツスーツを来た女性が立っている。顔は小さく美形で、気の強そうな印象を受ける人だった。
「ええ、どうぞ」
と答えると、女性はおれの向いの席に座り、ケータイをいじりはじめた。おばちゃんが水を持ってくると、「とりあえずビールお願いします」と言った。
目の前に知らない女性が、しかも美人が座っていることがどうにも落ち着かなくて、おれは一心不乱に食べた。山盛りのご飯も、あっという間になくなった。
「ねぇ」
「は、はい?」
「さっきから見てたんだけど……」
ずっとケータイいじっているのだと思っていた女性は、おれを見ていたようだ。急に恥ずかしくなり、額に汗がにじんできた。
「さっきからね、ず〜と見てたの。あなた、素敵ね」
「え?」
「わたしね、ご飯をもりもり食べる男の人に超弱いのよね」
「はぁ……」
「このあと忙しい? よかったら飲みに行かない?」
いつものことだが、おれは暇を持て余していた。しかも相手は、性格がキツそうとはいえ美人だ。誘いに乗り、近くの居酒屋へと移動した。
飲み始めると、ミオリ名乗ったその女性はひたすら喋った。ビールを次々と飲み干しながら、アホな上司や女々しい彼氏、結婚をせかす両親への愚痴を言った。定食屋にきたのも、好みの男、つまり大食いの男をナンパするつもりだったらしい。ミオリさんは相当酔いがまわり、「あ〜もう飲めない」と言った後、おれに質問をした。
「わたし、何歳に見える?」
27歳くらいかな、と思ったので「24歳」と答えておいた。ミオリさんは顔をほころばせ、「よし、君は素敵だな〜」と言っておれの手を握り、「わたしの家に行こう」とさらっと言った。
ミオリさんの部屋は、ぬいぐるみなどがなく、女性にしてはさっぱりとしていた。10畳くらいのワンルームには、テレビとセンスのいいソフォ、そしてベッドが置かれている。おれがソファに腰を降ろすと、ミオリさんは積極的に攻めてきた。「早く脱ぎなよ〜」と言いながらジーンズを降ろす。
あらわになったおれのペニスを、ミオリさんはすかさずくわえた。目がとろんとし、顔の印象がずいぶんと優しくエロく変化していた。
しばらくチュパチュパとおれのをしゃぶった後、ミオリさんはスーツとパンティを脱ぎ、ソファにのぼって「わたしのも舐めてぇ」と言って、おれの顔に股間を押し付けてきた。おれは舌の表面全体を割れ目に沿って何度も前後させた。
「あはぁん」
ミオリさんが腰をよじる。「気持ちいいよぉー」と言いながら、両手でおれの髪の毛をぐしゃぐしゃにした。舌先でクリトリスをいじると、ビクッと敏感に反応した。
しぼらくクリトリスを愛撫し続けると、「ダメッ、いくぅ〜」とミオリさんはあっという間に絶頂を迎えた。
「ねぇ、ベッド行こうよ」
ミオリさんはおれの腕をつかみ、もう待ちきれないとばかりにベッドに移動した。「早く挿れてぇ〜」と仰向けになり、股を開く。
おれはちょっといじわるをしてやった。亀頭を割れ目に沿って上下にこするだけで、しばらく挿れなかった。「早くぅ、早くぅ」とミオリさんは涙目になって懇願する。「別におれは挿れなくてもいいや。終わりにしようか」と言うと、「だめだめだめぇ〜」と首を激しく振った。
「しょうがないなー」
ペニスをゆっくりと、進んでいることが分からないくらいのスピードで挿れていく。はぁ、はぁー、はぁん、とミオリさんは息を漏らし続ける。奥に到達し、おれが腰を降り始めると、「あはぁー、はぁっ、はぁっ、あぁんっ」と大きく喘いだ。
次々と体位を変えた。正常位から騎上位、対面座位、バック、そして立ちバック。ミオリさんは何度も昇天した。
その間、ミオリさんのバッグのなかにあるケータイが度々鳴った。立ちバックからもう一度正常位に戻るとき、また鳴っていたケータイをバッグから取り出した。
「これ誰?」
と言って、ディスプレイに表示されている男の名前をミオリさんに見せると、「彼氏だよ……」と答えた。おれはボタンを押し、電話に出た。「おい、何回もかけてんのになんで出ないんだよ」と怒気を含んだ声で男が話しはじめる。おれはミオリさんにケータイを渡し、耳に当てさせた。「え?え?」と彼氏の声を聞いてミオリさんは動転している。
おれは激しく、ありたっけの力を込めて腰を振った。声を押し殺せなくなったミオリさんが、ケータイを急いで顔から離し「あぁぁぁぁんっ」と喘ぐ。
「そんなに大声出したら、彼氏に聞こえちゃうよ」
「あぁぁんっ、そんなっ、だってっ、はぁぁんっ」
通話終了のボタンを押すこともないまま、ミオリさんは再び快楽の極みに達した。