透さんは会社の先輩だ。仕事はできるが、性格はいいかげんだし、すぐに下ネタを言うので毛嫌いしている同僚もいる。だがその一方で、透さんを慕う人たちもいたし、特に私は大好きだった。彼氏はいるけれど、透さんへの思いの方が強いのではないかと思う。
先日の私の誕生日。打ち合わせの席で透さんは、「智美も25歳か。もうオバサンだな」と言った。ちょっと待ってよ、と思ったし、私よりも年上の女性たちは明らかにむっとした顔をしていた。だが、そんなことを透さんは気にもせず、「オバサン、オバサン」とへらへら笑っていた。
その日、早く仕事を終えた透さんは、「これ、誕生日プレゼント」と言って細長い箱を私に渡して帰っていった。かわいい絵柄がプリントされた包装紙に包まれていた。透さんからプレゼントをもらえるなんて思っていなかったので、私はかなり驚き、そして飛び上がるほどうれしかった。
もらったときは飛び上がるほどうれしかったが、箱を開けたときには飛び上がるほど驚いた。中にはいっていたのは、ピンク色の巨大なバイブだった。ご丁寧に乾電池まで付いている。
「やだぁ、なにこれ……」
使ったことはないが、奥手の私でもバイブのことくらい知っている。スイッチをいれ、動かしてみる。ウィンウィンと音を立てて、くねくねと動いた。せっかく透さんからもらったものだから、パンティを下ろし、クリトリスに軽く当ててみる。
「あん……」
思った以上に気持ちよく、思わず声が漏れた。その瞬間、ケータイが鳴った。透さんからだった。
「……もしもし」
「どう? 俺のプレゼント、もう使った?」
「まだ使ってないですよぉ」
「“まだ”ってことは、これから使うってこと?」
「違いますよっ」
「まぁ、楽しんでくれよ」
電話が切れた。一方的な透さんに腹を立てながらも、声が聞けたことはうれしかった。その声を思い出しながら、再びバイブを女陰に当てる。
「はぁん……」
しばらく当てていると、快感は徐々に大きくなっていき、樹液が溢れてきた。おそるおそる、バイブを穴の中にいれてみる。
「あんっ」
快感が全身を走り抜ける。まるで、本物のペニスを挿入されているかのような気持ちよさだった。私はその偽物のペニスを、透さんのペニスだと思うことにした。
「透さん、おおきいよぉっ、あんっ」
小さい声で喘ぎながら、奥までバイブをいれる。
「はぁんっ、あんっ」
どれくらいバイブを女陰に突っ込んでいたのだろうか。気づくと、頭の中は真っ白になり、身体は小刻みに痙攣していた。いってしまったのだ。彼氏とのセックスでもいくことのない私が、偽物の透さんのペニスでいってしまったのだ。
「どうだった?」
翌朝、透さんはにやけた顔で聞いてきた。あまりに恥ずかしかった私は、怒ったふりをして無視した。