「どうせ俺なんて……」
居酒屋で飲みはじめてから何度目か分からないそのセリフを、幹夫はつぶやいた。また、女に振られたらしい。これで、大学に入って5人目の玉砕だ。
「ウジウジしないの」
「だって……」
「だってじゃないよ。そうやって、自信なさそうにしてるからモテないんだよ」
「自信なんて持てないよ。人生で一度も、女の子と付き合ったことないんだよ。拒否され続けてる人生なんだよ。自分はダメなやつなんだって思うしかないじゃん」
イラつきを通り越して、だんだんかわいそうになってきた。確かにいろいろ思い出しても、幹夫に浮いた話はない。
「真理子には、どうせ分からないよ。何人もの男に言い寄られる女にはどうせ……」
「分かったわよ。わたしが、自信付けさせてあげるわよ」
「え? どうやって」
「いいから、こっち来て」
立ちあがり、幹夫の腕をつかむ。そして、女子トイレに連れて行った。「ちょ、ちょっと……」と幹夫はボソボソ言っていたが、無視した。個室に入り、鍵を閉める。
「あなたのことを拒否する女ばかりじゃないって、分からせてあげる」
「ど、どうしたの?」
「いいから、黙ってて」
幹夫のジーンズとトランクスを膝まで下ろす。皮をかぶったペニスが姿を現す。
「包茎?」
「仮性だけど……」
「なら、問題ないわ」
皮をやさしくつかみ、上下にしごく。柔らかくて小さかった肉棒が、みるみるうちに勃起していく。
「気持ちいい?」
「うん、すごくいい」
亀頭から我慢汁が出てきて、手が少し濡れる。これ以上は膨張しないという大きさになったところで、手の動きを止める。しゃがみ込み、思い切り口を開いてペニスを咥えた。
「あはぁ」
なんとも情けない声を幹夫は出した。顔を上下に揺らしはじめると、ハァハァと息を荒くし、目を細めている。
「あぁ、こんなの初めてだよ」
そう言う幹夫をもっと気持ち良くさせてあげようと思い、顔の動きを加速させる。同時に、右手でペニスの根本の皮をいじる。そのとき、いきなり幹夫は射精した。粘つく液体が、口内にほとばしる。痙攣が終わるまで待ったあと、肉棒から口を離して、便器に精子を吐いた。
「ちょっとぉ、いくときは言ってよ」
「ごめん、気持ち良すぎて、突然出ちゃった」
「もぉ」
幹夫は脱力しきった顔をしている。
「ちょっとは自信ついた?」
「うん。でも、エッチしてくれたら、もっと自信つくんだけど」
「だめよ、わたしは彼氏いるんだから」
幹夫は不満げな表情を浮かべたが、「ま、それもそうか」と言って笑った。
「彼女つくって、その人としなさいよ」
「うん、頑張る」
そう言ってジーンズをあげる幹夫が、以前よりも男らしく見えた。